大好きな料理本のことを中心に


by tsnote
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私とパン

パンへの思いって人によってそれぞれなんだなぁ、と
教室で質問を受けたりお話を聞いていると 感じます。
それぞれの差を、熱い・ぬるい・冷めてる、と温度で表現するとしたら
私自身は ぬるい。 になるのかもしれないです。
パンに関する情報をたくさん取り入れるのが苦手です、自分の
ありたい姿を見失ってしまうので。

子供のころ、母がロールパンとメロンパンとデニッシュとドーナツを、
繰り返し手作りしてくれていました。
時代的なものもあって母は何でも手作りでしたが、中でもパンは
外で買うのと何か違っていて、とてもおいしかった。
いつも、パン作ってくれないかなぁ。と思っていた気がします。
リクエストすれば作ってくれるわけではなかったのは、やっぱりパンは
時間がない時には作れないからでしょうね、今思えば。

叔母は、プチパン一筋でしたが 今はバター抜きが好きなのよ、とか、
卵入れるのに凝ってるんだ、とか、遊びにいくたびに違うレシピに
なっていました。
母も叔母も、たいして計ったりもせず、適当でしたけど
私には、手作りのパンはおいしい、という思い出が刷り込まれて
いるんだな、と思います。


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あんなに適当でも美味しく作れるのだから。
と、家庭を持った私はさっそくロールパンづくりに着手したのですが、
あれっ?!というくらい、うまく焼けないのには驚きました。
もしかして思い出を美化してしまったのか??
じゃあいいや、と当時流行り始めたホームベーカリーを買って焼いて
みるものの、「自分が食べたいのはこういうのじゃないし、こういう
ことがしたいんじゃない」ということだけが日増しに分かってくるばかりで
すぐに使わなくなりました。

当時、パンの本もあったのだけど、なんていうのか、どれも
正解はこれです、っていうところは一致していて、どうにも一致しすぎて
いて、パンってそんなにきっちりしているものなのかな。。という
違和感を 私は持っていたんです。
堀井和子さんのパンの本は、おしゃれすぎるようでいて、実は家での
パンづくりのリアルさが感じられて、ご自分の言葉であらわしているのも
好きで、繰り返し読みました。

本を作らせていただくようになって、パンの本を作る難しさを知ったのです
けど、できるだけ、パン作りのぬるさ、ゆるさ みたいなものは残したい。
パン作りは触感とか、勘だとか、感性が必要な作業なんじゃないかなって
思うので。ただ、それらはとても、伝わりづらいんですけども。

パンが主食の外国では、家庭でどういうふうにパンが焼かれてるのかなと
思って、洋書にヒントを探し、私的正解を見つけたと思ったことがあります。
(ただ、パンが主食の国では、家庭ではあまり焼かないみたいですけど。。)

特に面白いと思ったのは、ハンガリーのおばあさんが書いたパンの本。
何十年もパンを焼き続けているのに、パンに職人ぽさが全然ない。
でも、迷いなくそれを作り続けていることは伝わってきます。
それに、素朴なのに美しい雰囲気を持っているんです。
自分の中には確固たる基準があり、どこかほかのところにある正しさとは
関係ない感じ。何気なく作り続けられている家庭料理や郷土料理
と同じで、思い出として刷り込まれるような味を持っているはずです。

母のパン、叔母のパン、堀井さんのパン、ハンガリーのおばあさんのパン。
私なりの経験を経て、その延長上に 自分のパン、ができたと言えるでしょうか。
教室をしていることですし、私のパンも誰かの延長線上にいられたら
それこそ嬉しいことだなーと思います。


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by tsnote | 2012-09-10 13:40 | 自己紹介